翻訳かあさん、崖っぷちを走る

(更新お休み中)3歳保育園児と8歳小学生を育てながら働くフリーランス翻訳者のはなし。

村上春樹読書会に参加しました

仕事復帰の話は1回休み。

 

村上春樹を研究していらっしゃる作家の土居豊先生が、市内の居酒屋で開催している村上春樹読書会に月1回参加しています(と言っても、つわりとコロナでかなりご無沙汰だったのですが)。

 

10/8はノーベル文学賞発表日に合わせた『一人称単数』の読書会でした。

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私が住んでいるところは、村上春樹さんが幼少時代を過ごした地域の割りと近くです。私は高校生の頃から春樹作品のファンをやっておりまして、4年半ほど前、横浜から引っ越してきたばかりのときには、娘の慣らし保育の間に「ひとり春樹さんぽ」をやったりしました。

 

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風の歌を聴け』に出てくる猿の檻がある公園

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春樹少年が通ったツタが素敵な図書館

 

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アンリ・シャルパンティエの本店。どこかのエッセイに「当時の芦屋にはアンリ・シャルパンティエの本店くらいしかなかった」と書かれていた(文章はうろ覚え。改装されているため当時の建物ではないようです)

 

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春樹さんが若い頃デートで使っていたという神戸のピッツア(ピザではない)店

 

私は関西とは縁もゆかりもなくて知り合いもいなかったので、夫(当時同じ会社だった)と一緒に転勤になったとき心底嫌だったのですが、夫が決めてきた引越し先が春樹さんの地元ということで、それだけを生きるよすがにして(大げさ)引っ越してきました。

 

住んでみたらとても良いところだったんですけどね!不断の努力(自分で言うな)で友だちもそこそこできたしね!

 

しかし引っ越してきた当初はやはりホームシックで、毎日暗い気分で過ごしておりました。

 

そんなとき夫が「村上春樹の読書会やってるらしいよ」と情報を見つけてきてくれたのですが、春樹さんの地元で読書会なんて

 

コアなハルキスト(村上主義者)がマニアックな激論を戦わせているのではないか

 

強烈なアンチ村上にいじめられるのではないか

 

と思って(半分冗談、半分ホント)なかなか参加してみようという気になれなかったんですね。気分が沈んでて気力もなかったしね。

 

数か月後、ノーベル文学賞の発表に合わせて読書会があるというのを知って、それならたくさん人も来ていて、隅っこでこそっと参加できるんじゃないか、と思ったので、ようやく重い腰を上げて参加してみました。

 

蓋を開けてみたら強烈なハルキストもアンチもいなくて、「村上春樹が好きです!」という人はむしろほとんどおらず、「本が読みたいから」「近所でやっているから」という理由で来ておられる方が大多数でした。

 

最初に先生の解説があり、その後参加者が順番に感想や疑問を述べ、その後は先生が交通整理をしながら、話したい人が自由に話したいことを話す、という感じで進みます。

 

さまざまなバックグラウンドをもつ方が参加されるので、自分は思いもよらなかったようないろいろな意見が聞けますし、音楽好きな方が参加されたときは、物語に登場する曲をみんなで聴く時間があったりもします(春樹さんの小説にはとにかく音楽がたくさん出てきますからね)。

 

今回の『一人称単数』は、賞の発表を観ながらだったので、先生の解説だけの簡易版読書会になりましたが、『ウィズ・ザ・ビートルズ』のサヨコと、『国境の南、太陽の西』のイズミは同一人物がモデルではないか説や、過去のエッセイから推測すると、『クリーム』のピアノの女の子は春樹さんの幼少時代に実際にこういう子がいたのではないかという話など、そういえばそうかも、という興味深い話がたくさん聞けました。

 

来月の課題本は『ねじまき鳥クロニクル』です。
産後のポンコツなアタマで読める気がしないんですけどね。果たして参加できるでしょうか。