翻訳学校仲間からの近況連絡
少し前のことですが、翻訳学校に通っていたときのクラスメイトから連絡がありました。今Eテレで放送している海外ドラマの制作に携わっているとのこと。
昔の仲間が活躍しているのを知るのはうれしいことですし、分野は違いますが刺激にもなります。
私は専門学校を卒業したあと、20歳のときに翻訳学校フェロー・アカデミーの「全日制レギュラーコース」(現カレッジコース)に入りました。人生の割りと早い時期から翻訳をやりたいと思っていたんですね。
もともとは高卒で働こうと思って商業高校に通ったのですが、途中でいろいろと想定外のことが起こりまして、このような流れになりました。
そのようなわけで大学を出ていないし、留学経験もありません。翻訳者さんって、高学歴のいかにも頭が良さそうで教養のある人が多くて、私ごときが「翻訳者仲間」とか思っちゃいけない気が常にしております。でもいちおう翻訳で食べていけてますよ!高卒・専門卒で翻訳者を目指しているみなさん、がんばりましょう!
閑話休題。
全日制のコースを選んだので、月から金までめいっぱい翻訳の講義がありました。どのクラスでもたっぷり課題が出るので、その1年は、学校にいる以外の時間は課題をやっていた記憶しかありません。平日は帰宅してから夜中まで翻訳、土日もとにかく翻訳。週1、2回アルバイトをしていましたが、店のカウンターに辞書を広げて課題をやっていました。
だから1日1時間動画を見れば40日で翻訳者になれる(でしたっけ?細かい数字は忘れました)、とか言われたとしたら、ムリやろ、という以外の感想はうかびません。
講師はみなさん現役の翻訳者・翻訳家で、授業で扱われる内容は先生方が実際に仕事で使われたもの(またはそれに近いもの)ばかりだったので、非常に実践的でした。当時は毎日必死で、与えられる課題を訳すことしかできませんでしたが、今思えば、あの1年で仕事につながる基本的なことが身についたのだと思います。
「もうかりません」というのは先生方からよく聞きました。だから講師に、楽々年収1000万!とか言われたら、以下略。
また、学校の課題とはいえ1年間翻訳漬けだったので、結果的に「量をこなす」というのを体感できたということにもなるかもしれません。
でも履歴書に実績として書いてはいませんよ!そんなこと思いつきもしなかったわ。
学校に通っていた間は課題をこなすのに忙しくて、クラスメイトと遊びに行った記憶はほとんどないのですが、卒業後はよく集まって飲みに行くようになり、20年近く経った今でも、7人の仲間と定期的に連絡を取っています。
みな卒業後に1度はなにかしらの翻訳の仕事をして、その後別の仕事をしている人もいますが、今もフリーランスまたはインハウスの翻訳者、という人は私を含めて5人います(「トライアルに合格しただけ」ではなく、翻訳で食べている人たち)。
ほかの学校やほかのコースでは「受講生が実際に翻訳の仕事をするようになった率」がどれくらいなのかわからないですが、卒業して7、8年後くらいだったでしょうか、飲みの席で「みんな何かしら翻訳関係の仕事ができてるのって、すごいよね」という話をしたことを思い出します。
ちなみに私が昔勤めていた翻訳会社では、フェローの全日制コースの卒業生が同時期に3人いたことがあります(当時の社員数は20人くらい)。
1年間週5で通うコースなので学費もかなりのものですし、1年間は仕事ができなくなってしまいますので(あの課題の量で、授業についていこうとしたらほかに仕事をするのはほぼ不可能かと)、誰にでもおすすめというわけにはいきませんが(ほかにもコース・学校はたくさんありますしね)、今私が翻訳者として生計を立てていられるのは、一線で活躍しているたくさんの翻訳者・翻訳家から直接教えをうけられたから、そして同じ目標を持って切磋琢磨できる仲間に出会えたからなのは間違いありません。
翻訳学校なんて必要なかった、という同業者さんは星の数ほどいるでしょうし、最近はどうも中身が怪しい講座が多いので、学校に不信感を持っている人もいるかもしれませんが、翻訳学校に行って良かった、と思っている人もいるというサンプルをこそっとウェブの海に放出して本日は退散します。
あ、ただし、講座選びはくれぐれも慎重に……。